ラピアビンヤード(広島県世羅町)ラピア・ゲータンさん
出身地:カナダ アルバータ州ヒントン
年齢:43歳
経歴:27歳で来日し現在のパートナーである幸恵様と出会う。29歳で日本に1年間住み、その後32歳までカナダで働く。再び来日し広島県世羅町に移住、研修を経てぶどう農家として新規就農。
ラピアさんがぶどう農家をはじめるまで
ーーーどのような経緯で世羅町に移住されましたか?
日本旅行中に今のパートナーと出会いまして、結婚して住むという前提で1年間ワーキングホリデーで広島市に住みました。働くなら農業をしたい!と思っていたので未経験でも農業ができる場所を探し、就農支援や子育て支援が充実していた広島県世羅町に移り住みました。
ーーーなぜぶどうでの就農を選ばれたのでしょうか?
来日したときに初めて食べた日本のぶどうに衝撃を受けました。日本のぶどうはカナダのと比べると房も大きくて甘いんです。その時食べた味が忘れられず、ぶどう農家になると決心しました。
ーーーどのような過程で就農しましたか?
町内の農園で実技をしながら世羅産業大学で2年ほど研修を受けました。大学にいた頃はまだ日本語が堪能ではなかったので、周囲の人がジェスチャーなどで助けてくれました。
ーーー新規就農で大変だったことはありますか?
家や農地を役場に協力してもらって探しましたが、非常に苦労しました。また、販路を探すのも大変でした。大きいところに出荷することも考えましたが、やはり自分達が納得できる価格で売りたいと考えたため地道に販路を増やしていきました。
いまのラピアビンヤードについて
ーーーー現状の販路について教えてください
アウルの他は、個人のECサイトとふるさと納税です。あとはホームセンターで対面販売をしたり、道の駅やJAの産直市にも出したりしています。アウルは道の駅でご紹介いただき出品を始めました。
ーーー販路の開拓ではどのようなことを心がけましたか?
ホームセンターでの対面販売など、まず顔と名前を知ってもらう工夫をしました。あとは、道の駅に出品する際に他の生産者の方と名前が被ってしまう場合もあるので、そういう時は自分の名前で出しています。
ーーーお客様と直接やりとりできる販路では、どのようなメリットがありますか?
対面販売ではカナダ人のぶどう農家が目立つようで、お客様から声をかけてもらえるケースも多いです。「おいしかったよ」とか「がんばってね」という言葉は非常に嬉しいし、やりがいがあります。また、お客様の声を直接聞くのでニーズの変化を敏感に把握することができます。
ーーーどのようなニーズの変化がありましたか?
今はもうシャインマスカットやピオーネはどこでも手に入るので、産地では特に他の新品種を求められることが多くなっています。ただ、シャインマスカットが人気となったことでこれからも皮ごと食べられる品種が人気になっていくと思われます。
ーーー売る時にはどのような工夫をされていますか?
出荷時には必ず味見をしています。もし味がどうしても乗らないという場合は、それを正直に伝えます。お客様に対して嘘をつかないことを大切にしています。
これからのラピアビンヤードについて
ーーー今後の取り組みを教えてください
配送する際の梱包を、できるだけエコな方法に変えていきたいと考えています。過剰包装をせず、プラスチックの代わりに新聞紙や古紙を使うなど、自然に還らないものを極力使わない梱包を考えています。ただ、まだまだ過剰包装問題への理解が浸透していないので、アピールの仕方を工夫する必要があると思っています。
ーーー将来的に目指していることはありますか?
農園の中に小さなワイナリーを作りたいです。自分達で作った美味しいぶどうを使って、最高に美味しいワインを作ってみたいと思っています。
ーーー最後に、農家になって良かったことを教えてください
カナダでは家族との時間を大切にする考えがあるので、子ども4人との時間がしっかり取れるように自分で調整できることが嬉しいです。また、経営方針など自分の考えでやっていけるのも農家になってよかったことだと思います。